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ピンポンの続きを考えてみる 100 [Ping pongの続き]

※この物語は、松本大洋先生のピンポン(ping pong)の続きをあくまで勝手に考えたものです。オリジナルの作品とは一切関係ありませんので、ご承知置きください。


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「第100話 お前の負けだ」



星野と神楽の戦いは、終盤へ突入していた。



セットカウントは2-1…神楽が優勢ながらも、最終セットの得点は拮抗している。



神楽 7
星野 6



第二セットから、とても激しいラリーを続けてきた二人の体は、疲労困憊だった。



特に星野には、たった一試合でここまで消耗した経験がない。



それでも、ゾーンに入った二人は、頭が冴え、体は俊敏に動く。



神楽がサーブの構えを取り、下回転の短いサーブを出した。



対して星野は、裏面を使い台上から無理やりドライブを放つ。



その後、神楽もバックハンドを振り抜き、この試合のポイントでもあるバック対決にラリーは突入する。



緩急と回転量を自在に操り、縦横無尽に弧を描く神楽のバックハンド。



回転の強い裏面打法に加え、小泉から教わったレーザーのような星野のバックハンド。



プロ選手であるアスナロ製薬の選手ですら、その高いレベルのラリーに見とれている。



その均衡を破ったのは、星野だった。



神楽の大きくカーブする打球に対し、一気に回り込んでフォアで強打したのだ。



それまでよりも一歩早いタイミングで放った球は、回転など無視して神楽のコートに突き刺さる。



神楽もかろうじて反応したものの、球はラケットの端にあたりあさっての方向へ飛んでいく。



神楽 7
星野 7



星野「ッッシ!」



星野は大きなガッツポーズをとる。



その姿を見ていたアスナロ製薬の監督である川俣は、不意に苛立ちを感じる。



川俣「おい、神楽!ここで決めろ」



川俣が不意に出した大声に、その場にいた全員が静まる。



そんな静けさのなか、川俣と小泉の目線がぶつかった。



そんな二人の目線を不思議に感じつつ、神楽は星野に話しかける。



神楽「おい、悪いな。ここで決めろって、監督命令だ」



星野「…そうはいかないんだな、これが」



神楽「そんな事ないさ。お前はまだ俺には勝てない」



星野「へへっ、かっちぶーだな。けど…」



星野は会話を途中でやめ、ボールを高く投げ上げる。



星野が放ったサーブは、スピードがある強烈なロングサーブだった。



神楽の体の正面、ミドルへとんだそのサーブは、この試合で星野が見せた中でも一番鋭かった。



さらに、横回転がかかったそのサーブは、神楽の正面から若干フォア側にカーブし、内側をえぐるようにうねる。



本来ならば神楽は、カーブしてくるボールに対しフォアで返球できるよう一歩バック側にずれるのが得策だったはずだ。



しかし、神楽は逆に動いた。



星野がかけたカーブと同じ方向に飛び、無理やりバックハンドで返球をしたのだ。



また、神楽が飛びついて着地したのは台の中心であり、星野の強打がどこにきてもいいような準備も同時にしていた。



- やべ、予想外じゃん -



星野としては、神楽は回り込んでフォアで返球してくる事を予想していた…そうするしかないようにサーブを放ったはずだったのだ。



その後の3球目でスペースの空いたところに強打をはなち、自分が先手をとりながら打ち合いに持っていくはずだった。



しかし、実際にはバックハンドの強打を放たれ、さらには台の中心を陣取る事で、空いているスペースもない…



一瞬の読み合いの差で、星野は完全に後手にまわってしまったのだ。



星野もゾーンの状態に入っているため神楽の強打に反応はできていたが、どこに打ち込んでもカウンターを受けるイメージしか湧いてこない。



星野「…ッ」



星野は、仕方なく裏面打法でループドライブを放ち、神楽のタイミングをはずしにいく。



しかし、神楽がそんなチャンスを見逃すはずもなく、上から叩きつけるようなスマッシュで得点を決めた。



神楽 8
星野 7



星野「クソッ…」



息切れをしながら悔しがる星野に、神楽が声をかける。



神楽「お前はよくやった。その年齢でゾーンに入れる奴なんて、滅多にいないと思うぞ」



星野「…ゾーン?」



自分の状態を理解していない星野に構わず、神楽は続ける。



神楽「だが、それでも今回はお前は勝てないんだよ」



星野「試合は、最後までわかんないもんでょう」



神楽「いや、今回はお前の負けだ」



神楽はそう言い終わると、黙ってレシーブの構えをとる。



星野は…感覚で理解した。



- この試合は、勝てない -



相当の悔しさと苛立ちを隠し、サーブを放つ。



一見激しいラリーが繰り広げられているように見えたが、その実は神楽がいつの間にかゲームを支配していた。







その後、星野は追加点を挙げる事はできず、神楽に敗退した。



次のお話はこちら

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